MRIで腰椎椎間板ヘルニアと言われたときに確認したいこと|画像と症状の関係
「MRIで腰椎椎間板ヘルニアと言われました。画像を見るとかなり悪そうですが、このヘルニアが今の痛みやしびれの原因なのでしょうか?」
整体院心華では、ヘルニアと診断された方に対して、MRI画像だけを見て施術方針を決めることはありません。
どの高さのヘルニアと説明されたのか、手術・リハビリ・薬・経過観察・運動など、どのような方針を示されているのかを確認します。そのうえで、実際にどの姿勢・動作で症状が出るのかを見ていきます。
MRIは重要。でも「画像だけ」で症状は決められない
MRIは、椎間板の突出・脱出や神経周囲との位置関係を確認するために重要な検査です。一方で、症状のない人にも椎間板の膨隆・突出などがみられることがあり、画像所見だけで現在の痛みやしびれを説明できるとは限りません。
Brinjikjiらの系統的レビューでも、無症状者に椎間板の変化が一定数みられることが報告されています。数字や研究内容は、「ヘルニアと坐骨神経痛の違い」の記事で詳しく整理しています。
この記事では「MRIの結果を受け取ったあと、何を確認するとよいか」に絞って解説します。
MRIの結果でよく見る言葉|膨隆・突出・脱出・遊離
MRIの説明や読影結果では、「膨隆」「突出」「脱出」「遊離」などの言葉が使われることがあります。これらは椎間板の形を表すための用語です。
| 用語 | 一般的な意味 |
|---|---|
| 膨隆(bulging) | 椎間板が広い範囲で外側へ張り出している状態。国際的な用語整理では、局所的な「ヘルニア」とは区別されます。 |
| 突出(protrusion) | 局所的に椎間板が出ている状態で、飛び出した部分よりも付け根の幅が広いタイプ。 |
| 脱出(extrusion) | 飛び出した椎間板組織が、付け根より大きく外へ出ている、または上下方向へ移動しているタイプ。 |
| 遊離(sequestration) | 脱出した椎間板組織の一部が、元の椎間板との連続性を失っている状態。 |

ただし、用語だけを見て「重症」「必ず手術」と決めることはできません。 実際の症状、筋力や感覚、医師の診察結果などを合わせて治療方針が判断されます。
「L4/5」「L5/S1」と言われたら、何を意味する?
MRIでは「L4/5」「L5/S1」など、ヘルニアがみられる椎間の高さを説明されることがあります。
一般的な後方〜後外側のヘルニアでは、その椎間を通過する神経根が影響を受けやすく、典型的には次のような対応があります。
| 説明された椎間レベル | 典型的に影響を受けやすい神経根 | 症状・所見がみられやすい例 |
|---|---|---|
| L3/4 | L4神経根 | 大腿前面〜すね内側の感覚変化、膝を伸ばす力、膝蓋腱反射など |
| L4/5 | L5神経根 | すね外側〜足の甲・母趾周辺の感覚変化、足首や母趾を上げる力など |
| L5/S1 | S1神経根 | ふくらはぎ〜足の外側・足底の感覚変化、つま先立ち、アキレス腱反射など |

これはあくまで典型的な対応です。椎間孔内・外側(far lateral)へ出るヘルニアでは、同じL4/5でも通過するL5神経根ではなく、出口側のL4神経根が影響を受けることがあります。
そのため、「L4/5と言われたから、この場所に症状が出るはず」と自己判断するのではなく、画像の高さと、実際の痛み・しびれ・筋力・反射などがどう対応しているかを医師に確認することが大切です。
来院前に医師へ確認しておくとよいこと
MRIの結果を受け取ったあと、次の点を医師に確認しておくと、現在の状態や今後の方針を整理しやすくなります。当院でも来院時にこれらを伺います。
- ヘルニアはどの高さ・どの位置にあるのか
- 現在の症状と画像所見は一致していると考えられるのか
- 手術・リハビリ・薬・経過観察のうち、どの方針なのか
- 運動や仕事・日常生活で避けることはあるのか
- どんな変化があれば早めに再診すべきか
同じ「腰椎椎間板ヘルニア」という診断でも、医師が判断した状態や治療方針は一人ひとり違います。
そのため、医療機関での説明を無視して「整体で何とかする」という考え方はしません。
手術以外の方針なら、次に「今の身体」を確認します
保存的に経過を見る方針になっている場合などは、そのうえで腰痛や坐骨神経痛の方と同様に、実際の身体の状態を確認していきます。
立つ、歩く、座る、寝る、座位から立ち上がる、前にかがむ、反るなど、どの姿勢・動作で症状が出るのかを確認します。
必要に応じて、腰だけでなく、足部・下腿・股関節・骨盤・腹部・体幹なども見ます。
また、身体の一部に触れたり軽く圧を加えたりした状態で、同じ動作をもう一度行っていただくことがあります。
変化があっても、「そこがヘルニアの原因」と決めるわけではありません。施術する場所や方法を考えるための手掛かりとして使います。
実際の確認例|画像所見だけで施術場所を決めなかったケース
- 医療機関での説明
- 腰椎椎間板ヘルニアと診断されていました。主治医から保存的に経過を見る選択肢があることを確認したうえで、当院で身体の状態を確認しました。
- 主な症状
- お尻から大腿部外側にかけてのしびれがありました。
- 症状が気になる場面
- 歩行時と、仰向けで寝ている時にしびれが気になっていました。
- 当院で確認したこと
- 歩行時にも症状が出ていたため、下腿を含めて確認しました。患側の前脛骨筋・後脛骨筋周辺に触れた状態で反応を確認し、その後、腹部にも条件を変えて確認しました。
- 確認時の変化
- 触れる場所を変えることで、症状の感じ方や動作時の反応に変化がみられました。
MRIでヘルニアが確認されていても、実際の症状がどの条件で変わるのかを確認し、その日の施術内容を考えるための手掛かりにしました。
このようなケースでは、MRIでヘルニアと診断されていることを尊重しながらも、「ヘルニアがあるから腰だけを見る」とは考えません。
実際に困っている「歩く」「寝る」といった場面を確認し、その動作や姿勢がどのような条件で変わるかを見ていきます。
MRI結果を持っていても、次の変化は再受診を優先してください
MRIでヘルニアと診断済みであっても、経過の途中で次のような変化が出た場合は、「以前ヘルニアと言われたから」と自己判断せず、医療機関へ相談してください。
- 新たに排尿・排便の異常が出た
- お尻や股の周辺の感覚が明らかに鈍くなった
- 下肢に力が入りにくくなった、または筋力低下が進んでいる
- 症状が短期間で大きく変化している
- 医師から早期再診や手術について説明を受けている
特に排尿・排便の異常、会陰部周辺の感覚低下、進行する筋力低下などは、緊急性の高い神経障害でみられることがあります。当院で経過を見る内容ではありません。
まとめ|MRIは「大切な情報の一つ」として考えます
MRIで腰椎椎間板ヘルニアと診断された場合、その画像所見は重要です。
しかし、整体院心華では、画像だけを見て施術場所を決めません。
MRI結果を受け取ったら、①どの高さ・位置の所見か、②今の症状と対応していると考えられるか、③医師からどの治療方針を示されているか、の3点をまず整理することが大切です。
当院ではその情報を尊重したうえで、実際に困っている姿勢や動作を確認します。MRIは大切な情報ですが、それだけで施術場所を決めるのではなく、医療機関での判断と現在の身体の反応を分けて考えます。
MRIでヘルニアと言われた後、不安が残っている方へ
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参考文献
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- Brinjikji W, et al. Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(4):811-816. PMID: 25430861.
- Brinjikji W, et al. MRI Findings of Disc Degeneration are More Prevalent in Adults with Low Back Pain than in Asymptomatic Controls: A Systematic Review and Meta-Analysis. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(12):2394-2399. PMID: 26359154.
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- Yaman O, et al. The role of conservative treatment in lumbar disc herniations: WFNS spine committee recommendations. World Neurosurg X. 2024;22:100277. PMID: 38389961.
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や画像所見には個人差があります。診断や治療方針については医師などの医療専門職にご相談ください。本文中の事例は、当院での確認方法を説明するため、個人が特定されない形で記載しています。同様の結果を保証するものではありません。
