ファシアと痛みの関係とは?筋膜・神経・身体の動きから解剖学的に解説
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ファシアと痛みの関係とは?
筋膜・神経・身体の動きから解剖学的に解説
大分市・高城の整体院心華が、解剖学・生理学・運動学の3つの視点から医学研究をもとに解説します
「筋肉をほぐしても、しばらくするとまた痛くなる」「痛いところだけでなく、少し離れた場所に触れられると身体の動きが変わる」。このような現象を考えるうえで、近年研究が進んでいる組織の一つがファシア(fascia)です。
ファシアは筋肉の周囲だけでなく、さまざまな組織を包み、支える結合組織と関係しています。さらに研究では、ファシアに感覚神経が存在し、痛みの発生に関与する可能性が示されています。この記事では、ファシアと痛みの関係について、解剖学・生理学・運動学の3つの視点から整理します。
この記事の結論
- ファシアは筋肉だけでなく、腱・靱帯・関節包などを含む、全身に広がる結合組織の連続体(ファシア系)です
- 腰から背中に広がる胸腰筋膜には、痛みを感じる感覚神経終末が存在することが報告されています
- 胸腰筋膜への実験的な刺激では、筋肉や皮下組織への刺激より強く・長く・広く痛みが生じる傾向が確認されています
- 筋膜リリースには一定の効果を示す報告がありますが、万能ではありません。進行する筋力低下や排尿・排便の異常などがある場合は、整体より医療機関での評価を優先してください
目次
ファシアとは何か?筋膜との違い
ファシアは、主にコラーゲンなどを含む結合組織です。一般的には「筋膜」と訳されることもありますが、厳密にはファシアと筋膜は完全に同じ意味ではありません。
Fascia Research Society(国際ファシア研究学会)による用語整理では、個々の膜状の結合組織を指す「fascia」と、全身に広がる結合組織の連続体を指す「fascial system(ファシア系)」が区別されています。
ファシア系に含まれる組織の例
- 筋肉を包む筋外膜・筋周膜・筋内膜
- 皮膚の下にある浅筋膜
- 筋肉や組織の間にある深筋膜
- 腱や靱帯
- 関節包
- 神経や血管の周囲の結合組織
つまり、ファシアを理解する際には、筋肉を包む一枚の膜だけでなく、組織同士の連続性や相互作用を見ることが重要です。
ただし、結合組織が解剖学的につながっていることは、その一部分の異常が必ず離れた部位の痛みを引き起こすことを意味しません(参考文献[1])。
解剖学的視点|ファシアにある痛みを感じる神経
痛みは、筋肉や関節だけから生じるものではありません。ファシアにも、組織への有害な刺激を検出する侵害受容性の神経終末が存在します。
ただし、組織に神経終末が存在することだけで、その人の腰痛の原因がファシアだと特定できるわけではありません(参考文献[2])。
生理学的視点|ファシアへの刺激で痛みが起こるのか
2014年、Schilderらは健康な成人12名を対象に、超音波ガイド下で胸腰筋膜・筋肉・皮下組織に高張食塩水を注入する実験を行いました。高張食塩水は、研究目的で一時的な痛みを生じさせるために使用されています。
| 刺激した組織 | 痛みの傾向 |
|---|---|
| 胸腰筋膜 | 痛みが長く持続し、より広い範囲に広がる傾向 |
| 筋肉 | 筋膜への刺激と比較すると、範囲や持続時間は限られる傾向 |
| 皮下組織 | 筋膜への刺激と比較すると、範囲や持続時間は限られる傾向 |
この結果から、胸腰筋膜自体が痛みの発生源となり得ることが示されました。さらに2022年に発表された16名の実験研究でも、胸腰筋膜への化学刺激は、多裂筋への刺激より強い痛みや広い痛みの範囲を生じさせました。
参考文献[3][4]
運動学的視点|ファシアと組織の滑走
身体を動かすとき、筋肉は収縮・伸張し、その周囲の結合組織も変形します。このとき重要な働きの一つが、隣り合う組織同士の相対的な動き、いわゆる「滑走」です。例えば前かがみになる動作では、腰部の筋肉や筋膜がそれぞれ変形し、周囲の組織との位置関係が変化します。
2011年、Langevinらは超音波を使って、慢性腰痛のある人とない人の胸腰筋膜の動きを比較しました。その結果、慢性腰痛群では胸腰筋膜のせん断ひずみが低下していました。せん断ひずみとは、隣り合う組織が相対的にずれる際に生じる変形の指標です。
この研究は、腰痛とファシアの動態が関連している可能性を示しています。ただし、観察研究であるため、滑走の低下が腰痛の原因なのか、痛みによる運動量の低下などの結果なのかは断定できません。
参考文献[5]
ファシアを調整すると痛みは改善するのか
では、筋膜リリースなどの手技には、どの程度の科学的根拠があるのでしょうか。2021年に公表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、慢性腰痛患者375名を含む8件のランダム化比較試験が分析されました。
| 評価項目 | 結果 |
|---|---|
| 痛み・身体機能 | 統計学的に有意な改善が認められた |
| 生活の質・体幹可動域・圧痛閾値 | 統計学的に有意な改善は確認されなかった |
この結果は、筋膜リリースが慢性腰痛に対する補助的な選択肢となる可能性を示していますが、すべての痛みに有効であることを保証するものではありません。研究の質や対象者数にも限界があります。
参考文献[6]
整体院心華がファシアの視点を参考にする理由
当院では、痛みが出ている場所だけで身体の状態を判断しないことを大切にしています。例えば腰を曲げると痛みがある場合でも、腰だけでなく股関節や胸郭の動き、周囲の筋肉の働きなどを確認します。
そして、気になる部位に軽く触れたり、一定の刺激を加えたりした状態で、同じ動作を再検査することがあります。その際に確認しているのは、主に次の点です。
痛みの強さの変化
同じ動作で痛みの強さが変化するかを確認します。
関節可動範囲
関節の動かせる範囲が変わるかを確認します。
動作時の不快感
動かしたときの不快感が変化するかを確認します。
刺激後の持続性
刺激をやめた後も変化が続くかを確認します。
こうした変化は、施術方針を考えるための手掛かりになります。ただし、触れた場所で痛みが変わったからといって、その部位のファシアが痛みの原因だったと断定することはできません。
関連する当院の考え方は、「なぜ押したまま、もう一度動いてもらうのか?」でも詳しく解説しています。
痛みをファシアだけで考えてよいのか
痛みには、筋肉・腱・靱帯・関節・神経など、さまざまな組織や要因が関係します。また、睡眠、ストレス、過去の痛みの経験、神経系の感受性などによっても、痛みの感じ方は変わります。そのため、ファシアへのアプローチだけであらゆる痛みが改善するとは考えられません。
- 進行する筋力低下がある
- 下肢に力が入らない状態がある
- 新たな排尿・排便の異常が出ている
- 股の周辺の感覚低下がある
こうした症状は、ファシアの問題として様子を見るのではなく、神経や脊髄に関係する病態の可能性があるため、医療機関での評価を優先してください。
よくある質問
Q.ファシアと筋膜は同じものですか?
厳密には異なります。「筋膜」は個々の膜状の結合組織を指すことが多く、「ファシア(ファシア系)」は筋外膜・腱・靱帯・関節包なども含む、全身に広がる結合組織の連続体を指します。
Q.筋膜リリースを受ければ、腰痛はすべて治りますか?
研究では痛みと身体機能に一定の改善が報告されていますが、すべての痛みに有効であることを保証するものではありません。研究の質や対象者数にも限界があり、補助的な選択肢の一つと考えられています。
Q.自分でファシアの状態を確認する方法はありますか?
前かがみなど特定の動作でどこに違和感が出るかを確認することはできますが、ファシアの状態そのものを自己判断で特定することは困難です。痛みが続く場合は、医療機関や整体院で動作や姿勢とあわせて確認することをおすすめします。
実際にご来院された方の声
「筋肉だけでなく、筋膜という視点から説明してもらい、なぜ揉んでもすぐ戻るのか納得できました。」
大分市在住 40代女性
「触れた状態で動きを確認してもらい、変化がある部分とない部分を分けて説明してもらえたので分かりやすかったです。」
高城在住 50代男性
「筋膜リリースが万能だとは説明されず、研究の限界まで誠実に話してもらえたので信頼できました。」
別府市在住 30代女性
「痛い場所だけでなく、股関節や胸郭まで一緒に確認してもらい、身体全体のつながりを実感しました。」
大分市在住 50代女性
整体院心華 院長 西原 康博(柔道整復師)
大分市高城で17年、60,000件以上の施術実績。ボキボキしない優しい技術で、初回改善率93.5%を実現。
まとめ
- ファシアは筋肉だけでなく、腱・靱帯・関節包などを含む、全身に広がる結合組織系である
- 胸腰筋膜には感覚神経が存在し、侵害受容に関わる可能性が報告されている
- 胸腰筋膜への実験的刺激によって、筋肉や皮下組織より強く・長く痛みが生じる傾向が確認されている
- 慢性腰痛と胸腰筋膜の滑走(動態)には関連が報告されているが、原因と結果は断定できない
- 筋膜リリースには疼痛軽減の可能性があるが研究上の限界も残り、筋力低下や排尿・排便異常がある場合は医療機関を優先する
大分市高城で腰痛・身体の動かしにくさにお悩みの方へ
「筋肉だけでなく筋膜の視点からも確認してほしい」という方は、完全予約制の整体院心華へご相談ください。
初回 2,980円(1日先着2名)
参考文献
- [1]Stecco C, et al. (2019). Fascial nomenclature: Update on related consensus process. Clinical Anatomy, 32, 929–933. リンク
- [2]Tesarz J, et al. (2011). Sensory innervation of the thoracolumbar fascia in rats and humans. Neuroscience, 194, 302–308. リンク
- [3]Schilder A, et al. (2014). Sensory findings after stimulation of the thoracolumbar fascia with hypertonic saline suggest its contribution to low back pain. Pain, 155(2), 222–231. リンク
- [4]Dose-Dependent Pain and Pain Radiation after Chemical Stimulation of the Thoracolumbar Fascia and Multifidus Muscle. (2022). リンク
- [5]Langevin HM, et al. (2011). Reduced thoracolumbar fascia shear strain in human chronic low back pain. BMC Musculoskeletal Disorders, 12, 203. リンク
- [6]Wu Z, et al. (2021). Myofascial Release for Chronic Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis. リンク
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりになるものではありません。症状については医療機関へご相談ください。
