前かがみで腰や脚が痛む・しびれるときに確認したいこと|ヘルニアと動作の関係

「前かがみになると腰や脚が痛む」「靴下を履く、物を拾う、前にかがむ動作でお尻から脚がしびれる」。

こうした症状があると、「ヘルニアだから前屈で痛むのでは?」と考える方は少なくありません。

先に結論
前屈で腰や脚に痛み・しびれが出る場合、腰椎椎間板ヘルニアが関係していることはあります。
ただし、前かがみで痛む=ヘルニアが原因とは限りません。
当院では、前屈の角度だけでなく、背中や肩の位置、症状が出る場所と範囲、触れた状態で動きがどう変わるかまで確認します。

前かがみでは、腰椎・骨盤・椎間板に何が起こる?

立った状態から前にかがむと、腰椎は屈曲し、骨盤・股関節も一緒に動きます。

前屈すると椎間板や周囲組織にかかる力は立位とは変わります。Wilkeらが1999年に行った生体内測定では、姿勢や荷物の持ち方によって腰椎椎間板内圧が変化し、前方へ曲げる動作や物を持つ動作では負荷が大きくなる場面が示されています。ただし、椎間板内圧は姿勢や椎間板の状態によって変わるため、「前屈すると必ずヘルニアが悪化する」と単純には言えません。

また、膝を伸ばした状態で股関節を曲げる動作では、腰仙部から下肢へ続く神経系にも機械的な張力が加わります。臨床ではSLR(下肢伸展挙上)などの神経学的・神経力学的な検査が腰仙部神経根症状の評価に用いられます。

つまり前屈時の症状には、椎間板だけでなく、腰椎、骨盤、股関節、下肢、神経系、背中や肩の使い方など複数の要素が関係し得ます。

前かがみで腰椎・椎間板・骨盤がどのように動き、腰や脚の痛み・しびれが出ることがあるかを示した解剖図
前屈では腰椎や骨盤、椎間板に力学的な変化が起こりますが、前かがみで痛むからといってヘルニアとは限りません。

前屈で痛むからといって、ヘルニアだけを見ない理由

前屈時に痛みやしびれが出ると、MRIで確認されたヘルニアとの関係が気になるのは自然なことです。

ただし、同じ「前屈で痛む」という症状でも、実際には一人ひとり動き方が違います。

  • 前屈できる角度はどの程度か
  • 背中がどこから丸くなっているか
  • 左右の肩の位置に差があるか
  • 腰・お尻・脚のどこに症状が出るか
  • 痛みやしびれが局所なのか、脚へ広がるのか
  • 前屈だけでなく、回旋でも同じ症状が出るか

当院では、単に「前屈で痛いかどうか」だけでなく、どんな動き方をしたとき、どこに、どの範囲で症状が出るのかを確認します。

背中や肩の位置も確認する理由

前かがみは、腰だけで行う動作ではありません。

背中の丸まり方、肩の位置、骨盤の動き、股関節の曲がり方などが組み合わさって前屈動作がつくられます。

そのため、同じ角度まで前屈できていても、腰椎に動きが集中している人もいれば、股関節や胸郭を含めて分散して動いている人もいます。

当院では、痛む場所だけを見るのではなく、その人がどう前屈しているかを確認します。

「触れた状態でもう一度動く」ことで分かること

前屈や回旋で症状が出る場合、身体の一部に触れたり軽く圧を加えたりした状態で、同じ動作をもう一度行っていただくことがあります。

そこで動きや症状に変化が出た場合、その変化を施術場所や方法を考えるための手掛かりにします。

ただし、触れた場所で症状が変わった=そこが原因とは考えません。

たとえば患者さんには、次のように説明します。

「画像ではヘルニアがあると説明されていますが、今の痛みやしびれをヘルニアだけで説明できるとは限りません。ふくらはぎに触れた状態では前屈や回旋時の症状に変化が出ているので、まずはその部分を動きやすくしたうえで、私が触れていない状態でも変化が続くかをもう一度確認してみましょう。」

変化が一時的なものなのか、触れていない状態でも残るのかまで確認することで、その日の施術方針を考えていきます。

実際の確認例|前屈・回旋で右臀部〜大腿外側に症状が出た40代女性

40代・女性
医療機関での経過
医療機関で腰椎椎間板ヘルニアについて説明を受け、リハビリを行いましたが症状の変化が乏しく、その後当院へ相談されました。現在も保存的に経過を見る方針であることを確認したうえで、身体の状態を確認しました。
症状が出た動作
前屈と回旋の両方で、右のお尻から大腿部外側にかけて痛み・しびれが出ていました。
当院で見たポイント
前屈の角度、背中や肩の位置、症状の出る場所と範囲を確認しました。
触れた状態での再確認
右の下腿三頭筋周辺に触れた状態で、もう一度前屈・回旋を行ってもらいました。
その時の変化
触れている状態では、前屈・回旋時の痛み・しびれが軽くなりました。
触れていない状態での再確認
下腿三頭筋周辺を動きやすくしたあと、私が触れていない状態で前屈・回旋を再確認しました。本人の感覚では、その場で当初の10から4程度まで軽くなっていました。これはその日のその場での変化であり、その後の経過や持続を示すものではありません。
この反応から、「下腿三頭筋がヘルニアの原因だった」と判断したわけではありません。
前屈・回旋時の症状が、身体の条件を変えることでどう変化するかを確認し、その日の施術方針を考えるための手掛かりとして使います。
前屈・回旋で右臀部から大腿外側に痛みやしびれが出る40代女性に対し、下腿三頭筋に触れた状態で動きを再確認した実例図
前屈・回旋時の症状が、下腿三頭筋に触れた状態でどう変化するかを再確認した実例です。

なぜ脚に触れて、腰やお尻の症状を見るのか

症状が腰やお尻にあるからといって、確認する場所を腰だけに限定する必要はありません。

前屈や回旋は、腰椎・骨盤・股関節・下肢が連動して行う動作です。足部や下腿の動き方が変われば、立位や前屈時の身体の使い方も変化することがあります。

そのため当院では、症状が出ている場所と、動作に関わる場所を分けて確認します。

ただし、ここでも「脚を触ったら腰の症状が変わった=脚が原因」とはしません。変化が出たという事実を一つの手掛かりとして扱い、さらに再確認することを重視しています。

前かがみで悪化する人と、前かがみで楽になる人がいる

前屈と症状の関係は、病態によって同じではありません。

動作との関係 見られることがある傾向
前屈で症状が強くなる 椎間板ヘルニアなどでみられることがあります。ただし、前屈で悪化することだけで診断はできません。
立位・歩行で悪化し、前かがみや座位で楽になる 腰部脊柱管狭窄症でよくみられる特徴の一つです。買い物カートに寄りかかると歩きやすい、という訴えもあります。

2021年版の腰部脊柱管狭窄症診療ガイドラインの解説でも、中高年で臀部〜下肢症状が歩行・立位で増悪し、座位や前屈で軽減する病歴は狭窄症を疑う重要な手掛かりとされています。

前屈で症状が出る人が確認したい3つのこと

  • ① どこに症状が出るか
    腰だけなのか、お尻や脚まで広がるのか。どの範囲まで続くのか。
  • ② どの動きで出るか
    前屈だけか、回旋・立ち上がり・歩行などでも出るのか。
  • ③ 姿勢や動作条件で変わるか
    立って前屈する時と座って前かがみになる時で違うか、膝を軽く曲げた時と伸ばした時で症状の出方が変わるか。

※無理に深く曲げたり、痛みやしびれを強く再現したりする必要はありません。強い症状がある場合は自己判断で繰り返さず、医療機関へご相談ください。

この3つを整理すると、単に「ヘルニアがあるから痛い」と決めるより、現在の身体の状態を具体的に見ることができます。

こんな場合は医療機関での確認を優先してください

  • 新しく排尿・排便の異常が出た
  • お尻や股の周辺の感覚が明らかに鈍い
  • 下肢に力が入りにくくなっている
  • 症状や筋力低下が急速に進んでいる
  • 医師から早期再診や手術について説明を受けている

特に排尿・排便の異常、会陰部周辺の感覚低下、進行する筋力低下などは、緊急性の高い神経障害でみられることがあります。

このような場合は、整体で経過を見るのではなく医療機関での評価を優先します。

まとめ|前屈で痛むときは「何が写っているか」だけでなく「どう動くか」を見る

前かがみで腰や脚に痛み・しびれが出る場合、腰椎椎間板ヘルニアが関係していることはあります。

しかし、前屈は腰椎だけで行う動作ではありません。骨盤、股関節、下肢、背中や肩の位置など、さまざまな要素が関わります。

整体院心華では、前屈時の角度や姿勢、症状の場所と範囲を確認し、必要に応じて身体の一部に触れた状態でもう一度同じ動きを確認します。

画像を否定せず、画像だけにも頼らず、実際の動きと症状の変化を合わせて見る。

それが、前かがみで症状が出る方を確認するときの当院の基本的な考え方です。

この記事を書いた人:西原 康博
整体院心華 院長。柔道整復師(国家資格)。業界歴17年、累計施術6万回以上。
整体院心華は自費の整体院です。施術に健康保険は使用できません。

前かがみで腰や脚の痛み・しびれが気になる方へ

画像所見だけでなく、実際にどの動きで症状が出るのかを確認しながらご相談をお受けします。LINEでは、ご予約前のご相談も可能です。

参考文献

  1. Wilke HJ, Neef P, Caimi M, Hoogland T, Claes LE. New in vivo measurements of pressures in the intervertebral disc in daily life. Spine (Phila Pa 1976). 1999;24(8):755-762. PMID: 10222525.
  2. Nee RJ, Coppieters MW, Boyd BS. Reliability of the straight leg raise test for suspected lumbar radicular pain: A systematic review with meta-analysis. Musculoskelet Sci Pract. 2022;59:102529. PMID: 35245880.
  3. The Essence of Clinical Practice Guidelines for Lumbar Spinal Stenosis, 2021: 2. Diagnosis and Evaluation. Spine Surg Relat Res. 2023;7(4):320-323. PMID: 37636148.
  4. Yaman O, et al. The role of conservative treatment in lumbar disc herniations: WFNS spine committee recommendations. World Neurosurg X. 2024;22:100277. PMID: 38389961.

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や画像所見には個人差があります。診断や治療方針については医師などの医療専門職にご相談ください。本文中の事例は、当院での確認方法を説明するため、個人が特定されない形で記載しています。症状の変化には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。